Post-Operative swelling~Air emphysema(術後の腫脹の原因~気腫)

今日、明日は休診させていただいている。

理由は島根に帰るため。

アメリカに留学する前に最後にお墓参りしてから3年経つ。

流石にこれ以上は・・・ということで1人で松江にやってきたが最悪なことに大雨だ。

松江には様々な思い出があるが、それはいい思い出も悪い思い出ももう全て飲み込まれてしまった。

私には故郷があるのか?とふと思ってしまう。

いわゆる実家というものは既に松江にはなく、お墓だけが残されている。しかし、私の子供は島根に縁もゆかりもなく、恐らくだがこのお墓を守っていこうとは思わないだろう。

福岡に移り住んだ時間は松江にいた時間をとっくに超えてしまった。

私にとって松江という場所は故郷であるはずなのに、もう昔の面影・思い出がないのだ。

私が生きている間はこうしてまだ接点があるのだろうが。。。

ちなみに松江でエンドのセミナーしましょうとか、ぜひお話に来てください!という以来はいまだにない。

しかし、これは私に限った話でないというのが深刻さを窺わせる。

需要がこの土地はないのだろうか?

それとも旧態依然とした医療体制の下でいまだ社会主義社会のように過ごして行かなければならないような状態なのだろうか。

松江には毎月1度は墓参りに帰っているのだから、誰かこれを見ている松江の方、是非興味あればコンタクトください。

ということで、私はこの年末にかけて自分自身の歯科医師としての最終的な学術的目標として以前から伸ばしに伸ばしているABE Oral Board Examを2018.10.20〜22にセントルイスで受験することを決意し、試験料である$675!!をカードで決済した。

Oral Boardを受けたにも関わらず試験に落ちてしまうことがあるという。それは以下のうような場合のようだ。

  1. References! Use references when indicated or asked for. References are to be used to justify your comments. Unlike the written exam, during the orals there are almost no instances where we ask for a specific author. Failure to use any literature citations to support an answer or uses too many references from the 60’s and 70’s when more relevant and current literature is available. A candidate should be able to quote the classic literature from our specialty, at a minimum, to support a position. Don’t quote “sponsored” speakers as a justification on clinical issues and treatment procedures. Especially if those issues are controversial and not backed up by the literature.
  2. A Candidate that tries to control the pace of the questions. Keep in mind that the Directors must complete all ten sections of their scripted scenario. A candidate that can’t completely answer a question should say so and move on. It is not good for a candidate to dwell on the question and then try and answer the question later on. Let it go. On the other hand, do not filibuster. Be concise with your answers. Brevity is a virtue.
  3. Radiographs: When asked to describe what is seen on the radiograph, leave nothing out! Do not fall prey to tunnel vision and describe only the tooth involved.
  4. Candidates which have a limited or outdated knowledge of pharmacology. Be prepared to discuss current pharmacology as it relates to patient care.
  5. The candidate who uses outdated or wrong diagnostic terminology. Use the current diagnostic terminology when asked to make a diagnosis.
  6. A candidate who fails to ask for the medical history.
  7. Overall, not having a biologic basis for what they purport to do with a similar case in their office.

A few Directors felt compelled to throw in a few words of advice: don’t be nervous, the Board is there to test your knowledge and help you through the examination process. Have a positive attitude. Demonstrate confidence that you are well prepared for the exam.

ということでこのブログもその学習内容を色濃く受ける内容になると思われるので、患者さんには辛いかもしれないが興味のある人は読んでください。

さて、これから数回は治療後に顔が腫れるという状況について考察してみようと思う。

術後の顔面の腫脹として考えられることとしては6つが挙げられる。

  1. Air emphysema

  2. Post-operative Flare-up

  3. Allergic reaction

  4. Angioedema

  5. Necrotizing fasciitis

  6. Hematoma

今日はこの中のAir emphysema(気腫)に関してReviewしてみようと思う。

Air emphysema(気腫)は歯内療法の最中に起きる偶発症として知られる。原因は根管のスペースを通して根尖部歯周組織に空気が入り込むことによって生じる。またそれにより腫張し捻髪音が生じることもある。

特にエンドで危ないのがエアーである。

エアーは歯内療法では通常の歯科用3wayシリンジもしくはアメリカでは風圧を抑えるべく、Stropkoイリゲーターが使用されている。

 

ではこれらで気腫はエンドにおいてどのような状況で多発しやすいのだろうか?

抜去歯牙を根管形成し、3wayとStropkoでエアーをかけて根尖部にかかる圧を測定した。

すると、#25以上になると根尖部に圧が大きくかかることがわかっている。

普通のシリンジだとStropko Irrigatorの10倍も圧がかかるのである。

これでは気腫が起きても仕方がないだろう。

何せ骨髄の血圧は80mmHgなのだから、それを考えると#25以上拡大してエアーシリンジを根管内に当てることはかなり危険と言える。

では気腫になったらどのような対応が必要だろうか。

先ほどのEleazerのペーパーでは以下のような提案がなされている。

抗生物質の投与くらいしかなさそうだ。

Hulsmann、Hahnのレビュー論文によれば気腫はself limiting(放っていても勝手に治る) で治療などの介入は不要とされているが、全身の細菌感染のリスクがあるなら投与した方がいいというまあなんというか提案をしているだけである。。。

またAnのケースリポートでは、下顎の小臼歯の再根管治療後に気腫が起き、空気が眼窩、頭頸部、縦隔にまで及んでいることを報告している。(ただし日数の経過と主に気腫は減少している

気縦隔とは縦隔に空気が貯留した状態をいう。

縦隔というのは聞き慣れない言葉だと思うが、左右の肺の間に位置する部分のことを指しており、心臓、大血管、気管、食道、胸腺などの臓器がある。

 

大量の空気で縦隔の内圧が高まると,胸骨下の強い痛みを訴えるほか,しばしば呼吸困難,チアノーゼ,頸動脈怒張などをみる。空気が貯留していること自体は問題ないが,対症的には鎮痛剤の投与や酸素吸入を行い,まれには外科的に内圧の軽減をはかる必要が出てくる。

ということは、当然ながら命に関わるような重篤な pneumomediastinum(気縦隔)を発生させる可能性があることもin  vivo(犬)ではわかっている。(ただし人においての歯内療法においての気腫による死亡事故はない。インプラントではあるが。。。)

これを読んでインプラントはやはりインプラントの専門の先生にしてもらうべきだと改めて思い知らされた。


理想的な気腫に対する対応はやはり起こらないように予防するということに尽きる。

USC時代に、Dr.Rogesにしゅっちゅう言われた、エンドでエアーをかけるな、とにかくサクションしろ!

という言葉や、

私がエンドの開業に際してエアーはいらなかったし今もいらないし、診療室にはない、

と真面目に語ると100人中99人が笑うのだが、もはやこのような論文の裏付けをもってしてもあなたは平然と笑っていられるだろうか?

Ignorance is blissである。

ということでAir emphysemaに関してまとめると以下のようになるだろう。

  1. 基本的にself-limitingで時間の経過とともに治癒する
  2. 全身の細菌感染の恐れがある場合、抗生物質を処方
  3. 予防が重要で、不注意に根管内にエアーを当てない
  4. 根尖部が#25以上拡大されている場合、特に注意が必要
  5. Stropko Irrigatorを使用すると通常のエアーの10分の1以下の圧しかかからないので根管治療で乾燥する場合、有効である可能性