Sonic vs Ultrasonic ②

前回、sonic irrigationには洗浄液をダイナミックに動かす剪断応力はほとんど期待できないということについて言及した。

その原理を考えれば、このようなstudyの結果も腑に落ちるというものだ。

In vivoのclinical studyでsonic irrigationと従来のpositive pressureでの抗菌効果の差を見ている。

術者はレジデントで実際の患者を治療。

N=84で根尖病変があり壊死歯髄の根管治療をおこなっている。

MAFをそれぞれのレジデントが決めたと書いてあるがサイズの詳細は記載がない。

しかしながら、27Gのニードルで0.5%の次亜塩素酸ナトリウムで洗浄している。

最終拡大が終了後、EndoActivatorで洗浄するグループとシリンジで洗浄するグループにランダムで分けてその後ペーパーポイントでサンプルを採取し培地を培養する。

結果は双方に違いがなかった。

振動数が低く、振幅は根管という狭い空間で制限されるため効果がほとんど期待できない。

効果を期待するのに3分など長い時間そこに音波を入れていられれるか?だ。

これらは前回も述べたとおりである。

しかし首尾よく我慢できたとして、ultrasonicによる洗浄を好まない人の根底にあるのは、

”根管を傷つけるのではないか?”

という懸念である。

Boutsioukisらはメタルブロックで根管形成された歯牙を見立てた模型を作成し、そこに20/25mmの超音波(記載はないがおそらくこのサイズからまた使用しているのがP-MAX, またvan der Sluisが一緒に研究していることからSatelecのIrrisafeだと思われる)MAFは#35のものと#50のものの2種類が用意された。

この状況で超音波を20秒間当てた。

術者はレジデントでグループはPassive Ultrasonic Irrigationの手法を教え込まれているグループ(ACTA)とそうでないグループ(AUTH)に分かれている。

結果は、

結果から、

#35,#50に関わらず、超音波のパワーの大小に関わらず、Passive Ultrasonic Irrigationの方法を教え込まれている・いないに関わらず、超音波のチップは根管の全ての部分(Apical, middle, coronal)で接触している。

しかし、根管に接触するとdampeningされるはずの超音波の振幅であるが、音波と異なり複数nodeとantinodeがあるため、

先端部分で触れても

 

根管のmiddleの部分で触れても、

根管の上部の部分で触れても(この部分が一番触れていた)

大気中で超音波を動かした時の動き(各図の赤い点線)と比べても35%程度の振幅の減少しか見られなかったのである。

しかし、35%程度の振幅の減少でも20秒間作用させた時の70%の時間が、Passive Ultrasonic Irrigationをした時の洗浄効果に影響を与えている。

このように人工的に作成したメタルの模型ではあるものの、#35、50というサイズまで拡大した根管に#20/25mmの超音波を使用しても必ず全ての部分で接触したのである。

このことは、超音波に対して否定的な意見をお持ちの方からすれば、ほら見たことかという話になるだろう。

Passive Ultrasonic Irrigationのどこが、Passive(根管に当たらないという意味)なんだ?と。

In vitro(プラスチックの根管形成モデル)では、超音波洗浄を行うと図のように音波と比べて根尖部の根管にトランスポーテーションを起こすことが確認されている。

図の→はトランスポーテーションを示している。

湾曲した根管にストレートなSSの超音波(#15)をWL-1mmまで出し入れしながら使用すると、やはり根管を傷つけるようだ。

ではヒトの歯ではどうだろうか??

ヒトのストレートな根管を持つ抜去歯牙を#35.06まで拡大し、各種超音波器具(AM file #15 vs Irrisafe #20)で洗浄し、μCTを用いて根管の偏位の程度を調べた実験である。

超音波はP-Maxのパワーを7/20にし、WL-2mmまで超音波を根管に10秒挿入している。

AM file K15はその先端付近で歯根を傷つけてしまうのがわかる。

irrisafeも根管にあたり根管を傷つけてしまうが、Am fileよりもその量は少ない。

Am fileは最大で0.09mm, Irrisafeは最大で0.07mmのdentineを傷つけてしまうことがわかる。

このBoutsioukisの論文では、結局今の根管治療の超音波洗浄でPUIと言われているものの、どのようなタイプのファイルを使用しても実際はPassiveになっていることはない、というのが結論として述べられている。

ということで、やはり超音波は根管を少なからず傷つけるようだ。

では最終的にこのSonic vs Ultrasonicにどのような結末をつけるべきなのか?

このBoutsioukisのペーパーでは傷つけるとしても、Irrisafeで最大0.07mmである。

根管治療のファイルの大きさで言えばK fileの#8程度だ。(しかも最大)

その程度の変位が臨床上、Criticalなインパクトになるのか?誰にもわからない。

それで根充がうまくいかないのか、はたまたトランスポーテーションしてしまうのか?と言えば、そのようなことは臨床的にあり得ないだろう、という実感しかない。

私はこの手の話を聞いた時に、Patency fileをするべきか否か?の論争を思い出した。

Patency fileは根管口をトランスポーテーションさせるという。しかし、なるべく小さいファイルを使用すればその可能性は低くなる。

また根管からは何者も突き出してはならない!!と言いながらも、作業長を測るときは意図的に突き出してから、Foramenにもっとも近い歯周組織を検知しなければならない。

それらのことが、臨床上大きなインパクトファクターになるかどうかは誰にもわからないが、臨床的実感としてそのようになるとはとても考えにくい。

つまり、幹はそこではないのだ。

世の中の全ての事象はPros and Consでできている。100%問題がない事象はないのだ。

さて話は元に戻るが、なぜsonic/ultrasonicを使用するのだろうか?

それはPositive pressureには薬液のstreaming効果が期待できないからである。

そのことを鑑みて、臨床上薬液のstreaming効果が期待できるagitation効果のあるdelivery方法を選択していくことにつながるのである。

瑣末な比較をするのではなく、歯内療法の幹を理解してもらいたいと心から願う。

最後に、洗浄の分野で有名なvan der Sluisの言葉を紹介して締めくくろう。

I am not interested in a fight between ultrasonic or sonic activation, I have no financial interest in whatever system, which makes me free to choose the best system from a scientifical point of view, and that makes me a happy person because I do not feel the burden on my shoulders which I should feel if I would have invested a lot of money in a certain system.

Luc van der Sluis