Sonic vs Ultrasonic ①

Sonic irrigationの効果をエンド領域で初めて検証したのはTronstad 1985である。

犬の根管で音波(6500Hzのエアースケーラーに付けれるタイプ)を使用してこの時は根管形成をしている。と同時に2.5%の次亜塩素酸ナトリウム、17%のEDTAを洗浄液として使用!し、屠殺し、その時、発生したデブリを最もよく取れたのはどれか?をhand file+needle洗浄をcontrol群として比較している。

結果、handとsonic w 次亜塩素酸ナトリウムではその洗浄効果に差がなかった。

EDTAを使用するとデブリがよく取れた。

そしてsonic irrigationを使用すると歯軸に平行にgrooveが彫られていることがわかる。

しかし、レジンブロックにおいては変位が見られなかった。

Sonic irrigationは超音波に比べて振動数が低いので、洗浄液に対して発生させることのできる剪断応力は超音波よりも低い。

が、振幅は超音波よりも大きいため振動運動の幅は超音波よりも大きい。

またこのことから考えても振動のパターンも超音波とは違う。

音波は根元のほとんど振動しない部位(Node)と先端のブルブル震える部位(Antinode)に分かれそれぞれ1箇所づつ存在する。

したがって空間で音波を動かすとこのように三角形型に動く。

しかし、何かに規制を受けるとこの動きも規制される。つまり振り幅が小さくなる。

そして根管の中のような規制を受けまくるような環境にsonicを挿入すると、なんと上下運動に変化するのである。

図のX軸が点線になっているのは、X軸の方向には動いていません、ということを意味している。Y軸が音波の動く範囲である。このように小さな範囲で上下に動く。

このようにSonicは根管を上下に狭い範囲で直接こすりつけるような機械的な動きで根管を清掃していることがわかるだろう。これがsonicをポンピングさせて使用しろいう理由である。

ではその効果はいかほどであろうか??

音波の洗浄効果に関して調べたstudyの代表的なものの一覧が以下である。

しかしこの中で、

Sonic vs Ultrasonic を比較したものは3本しかない。

SabinsとStamosの研究では30秒の超音波洗浄の方が音波より多くのデブリが取れると結論づけている。超音波洗浄の洗浄効果のキモはacoustic streamingである。

この時のacoustic streamingの速度は振動数に依存するため、音波より超音波の方が効果的であることは論を待たない。しかも30秒。臨床的にはギリギリ耐えられるレベルだ。歯科医師はレジンの光照射の10秒でも時間が惜しいと感じる人種である。それからすると30秒すら長く感じるが。。。

それに対して、Jensen はsonicでもultrasonicでも差がないとしている。

しかしながら彼の研究では超音波・音波を3分も作用させている。

論ずるまでもなく、こう言った臨床行為はtedious(長くてイライラする)である。

すなわち以上から以下のような論理が推測できる。

超音波も音波もデブリ除去能力は変わりがない。ただし長時間(3分)も作用させる根気があれば。

しかし、こう言った研究で使用されている音波ファイルはRispisonic file であり、MM 1500 sonic handpiece (Medidenta International, Inc, Woodside, NY)と呼ばれるエアースケーラーにつなげて使用する。この器具は表面がギザギザしているため、洗浄時に根管壁に触れることから根管壁を歯軸に平行に傷つけてしまう可能性が考えられる。

このことから、ラドルは EndoActivator System (Dentsply Tulsa Dental Specialties, Tulsa, OK)を考案した。これはディスポのプラスチックのチップを使用するため、根管壁を傷つける可能性が低いと言われている。

今更いうまでもなく、以上の研究より明らかなようにEndoActivatorのチップの動きは細かな上下運動である。これにより大きな流速が発生すると言われている。

弱点はチップが折れにくいと言いながらも折れた時には、レントゲン造影性がないのでそれを同定することが困難な点にある。

さてこのEndoActivatorは本当にultrasonicより効果的なのだろうか?(事実、USCでは最終洗浄にこのEndoActivatorを用いることを推奨していた。)

一般的に流速は以下の式で示される。

Streaming velocity (v) = 2 π f ε0 2 / a

 f= frequency(振動数), ε0=amplitude(振幅) a = the diameter of the wire(チップの直径)

この式から振幅が大きいと洗浄速度は速くなることがわかるが、音波は根管という狭い空間の中では、振幅は大幅に制限され、振幅はほとんど発生しない。(0.13mm)

超音波の場合は、正常でも先端にmax 90μm=0.9mmしか振幅は起きていないし、Tipの先端が規制を受けると湾曲度合いが10°以上で振幅はゼロになる。

 

このように規制された根管のような空間では振幅による流速のアップは期待できないということがわかる。

では、規制を受けた空間でも変わらないパラメータは何だろうか?

それは振動数である。

振動数とは、 振動運動や波動が単位時間当たりに繰り返される回数でHz=1/sである。1秒間に4回動けば4Hzである。

1秒間に何回動くか?は最初から決まっており、定義では

Sonic:20〜20,000 Hz
Ultrasonic:25,000〜30,000 Hz

である。

ということは、ultrasonicの方が狭い根管という空間の中では極めて有効であるということがわかるだろう。

そして流速を早めるにはなるべくチップの直径が小さい方が有効であることも上記の式から理解できるだろう。

しかし、超音波洗浄で特に問題を指摘されるのは根管を傷つけるのではないか?という危惧である。次回はその辺りにfocusを当てて見たいと思う。