抜歯宣告を受けた #2, 根管治療 1年後

1年前、陸の孤島・長住にわざわざ熊本から紹介状をお持ちいただき、根管治療を行なった患者さんの1年リコール。

主訴は歯を残したい。

他院でゴールドアンレーの不適合を指摘され再治療、その時露髄し抜髄が必要と提案、ユニットを起こされ

“ 残存する歯が残っていないため、抜歯→インプラントが必要”

と言われ、混乱(それは誰でも混乱する)。。。

ネットで私を探して紹介状を持参で来院された。

初診時の口腔内の状態とレントゲン。

歯が残っていないというのは、フェルルがないということを意味すると私は大学院の2年で教わったが、果たしてこの歯の状態はそれに準じたものだろうか?

仮封を外すと歯牙は残存していると思われる。

程なく口蓋根から残根が見られたと思った瞬間(2〜3秒後)、口蓋根から大量の出血が発生し、その残根をカメラに捉えることはできなかった。

そして頬側根は見当たらない。

ここで点が線に繋がった。この根管は石灰化していたのだ。

石灰化していたため、根管が見つからず口蓋根は穿孔(Perforation)していたのだ。

頬側2根管は次亜塩素酸ナトリウムで洗浄すると、bubbleが出てくる。つまり存在はしている。

MB根は容易に発見されたが、DB根が発見できない。

次亜塩素酸ナトリウムで洗浄を続けていきながら超音波を使用して根管口を探索すると・・・

鈍い金属の光を見たのである。

口蓋はperforationし、DB根でファイル破折があったため、抜歯という決断に至ったのではないか?と推測される。

しかし、元々この治療は何を目的になされたのだろうか?

ゴールドアンレーの不適合を指摘され再治療、その時露髄し抜髄が必要

だったはずだ。

それが1時間経つと抜歯→インプラントになるという摩訶不思議な状態。

しかし、これは日本ではどこにでもある日常風景的な景色なのかもしれない。

こういった例は非常に多いからである。

ファイルが折れないように形成するような原則を守れば、きちんと治療ができるのである。

口蓋根は元々、抜髄である。根尖部に細菌はいない。

つまり、いじる必要がない。

そのまま放置し、穿孔部はMTAセメントで封鎖した。

それから1年後・・・

口蓋根はおろかMB, DBにも根尖病変はない。

症状もなく、毎日普通に過ごされている。

そして精度の高いクラウン。(クラウンは米国補綴専門医によってなされている)

まだ1年しか経っていないが、歯内療法・補綴治療の持つ力が凝縮されたそんな治療であったと思う。

このように歯牙が残されていないとか、根尖病変が大きいからとか、様々な理由で抜歯宣告されることが多いが、

どれも我々歯内療法専門医には当てはまらない。

歯牙を残したいという方は、是非一度ご相談・ご紹介ください。